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朝はあさごはんセミナー.グレブナー基底が統計に役に立つという話だった.グレブナー基底の定義自体はまぁ理解できるということ自体収穫だったし,理論的な見通しを与えるといういつものご利益も聞いていて面白かった.相変わらず代数の話はわかるが統計の話がちょっと飲み込むのに時間がかかる.統計の研究室に行きたいと言っているのにこれではよくない.
発表者はセミナーが初めてだと言っていたが,とても初めてとは思えなかった.あさごはん組には2人ほどセミナー未経験者がいるらしいが,私が最初にセミナーをした頃に比べて皆手慣れた発表をしていると感じる.
午後は演習.生物の最適行動選択のモデルについて.統計力学っぽく見なおしたりベイズっぽく見なおしたりできるよねとか言われて非常に面白く,統計力学の機運が高まる演習だった.が,田崎統計力学を一度手放してしまっている.つらい.
帰りがけにミルナーの「微分トポロジー講義」を購入した.最初の方はザクザク読めたのだが,最後のあたりになぜかコボルディズムとかいう単語が出てきて非常にこわくて面白そうである.基本的にユークリッド空間内の多様体しか考えていない本なので,他の人にも薦めやすそう.もう少し精読してからレビューしなおすこととしたい.
夜は位相セミナーの予習.ちょっと寄り道して,位相空間がHausdorff空間であることと極限点の一意性が担保されることが同値であることの証明をつけた.そんなに難しくないし,量も多くないのでここに下書きを公開してみる.
以下,を位相空間,を有向集合*1とする.更に,有向集合で添字付けられた点列を有向点列と呼ぶ.が極限点であるとは,の任意の近傍に対して,あるとある有向点列が存在し,を満たす任意のに対してが成り立つことと定める.このとき,がhausdorffであることと,内の任意の有向点列が高々1つの極限点しか有さないことは同値である.
内のある有向点列が相異なる2つの極限点を有したとしよう.このとき,の開近傍との開近傍とを任意に取ると,あるが存在し,を満たす任意のに対してが成り立つ. これはがhausdorffでないことを主張する.
逆に,がhausdorffでないと仮定すると,ある相異なる2つの点が存在して,この2点は開近傍で分離できない.つまりの開近傍との開近傍に対してを満たす点が取れる.開近傍系が有向集合を成すことに注意すればなる有向点列が取れて,この有向点列は極限点を2つ有する.
今日も侑ちゃんがかわいい.
*1:を順序集合とする.任意のに対して,が存在し,およびが成り立つ時,あるいは単にを有向集合と呼ぶ.